まじめに評価する必要もない作品だけど、きちんと映画を作ろうとする姿勢には好感が持てる。カスラ・ファラハニ監督「グッド・ネイバー」(2016)。

セス・ローゲンとローラ・バーンのコメディーではありません(あれは「ネイバーズ」)。学生二人が、ビデオ機材などを買いそろえて隣人を監視するという、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」風、現代学生版「裏窓」という映画です。でも、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のように観客をだまくらかす方向性はありません。あくまでも真面目に、つまり少なくとも「LAW&0RDER」に近い組み立てを持って作っています。

イーサン(ローガン・ミラー)とショーン(キーア・ギルクリスト)は、心理学の観察という建前で隣で一人暮らしする老人ハロルド・グレイニー(ジェームズ・カーン)を観察することにします。家の中に複数のカメラを仕掛け、4台のハードディスクで50日間記録するわけです。そして、いろいろな仕掛け(扉を開閉させるとか、冷暖房・照明を操作するなど)で“霊の存在を信じさせる”という実験を試みます。

冒頭からこの二人の学生が、べらべらとしゃべくりあいますが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のようにガタガタとカメラを動かさないので、何が起こっているか分かります(暗いけど)。そして僕のような観客が観察作業に飽きてくるあたりで、ちゃんと別の展開を見せて、映画鑑賞という基本姿勢を取り戻させてくれます。これが低予算フェイク・ドキュメンタリーとは違うところ。←だから安手のフェイク・ドキュメンタリーが好きな人には向きません。

結論的には、大したどんでん返しもなく終わるわけで、サスペンスものとして考えると面白くない。でも、フェイク・ドキュメンタリーのように中途半端に終わられるよりは、数段いいと言えるでしょう。そういう意味で、ジェームズ・カーンというスター俳優が出演を許諾したのも頷ける。また「ER緊急救命室」のウィーバー先生ことローラ・イネスも出ていて、「ディープ・インパクト」の私事を優先してしまう科学者よりずっといい。

さらに、タムリン・トミタが出ていると知って見ていたのですが、この人がタムリン・トミタか!と思ってしまいました。第二次大戦時の日系人収容所を描いた「愛と哀しみの旅路」の怒りを別の形でぶつけた感じですな。←あれから27年かぁ。

舞台となるショーンの部屋に、オタク好みの映画ポスターがいっぱい貼ってあり、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」、「プラン9・フロム・アウター・スペース」、「妖怪巨大女」、「リーファー・マッドネス 麻薬中毒者の狂気」などでした。しかし「Debbie Does Dallas」に反応してしまう自分が恥ずかしい。

というような、よい子は見ないでいい作品ですが、ギークやナーズたちの心の片隅には残る、そんな映画でした。さあ、さっさと忘れて“もっといい映画”を見ようっと。写真3のモニターに映っている女性は壁紙ですからね。要らぬ期待はせぬように。